食品や日用品の価格高騰、そして年金や老後資金への不安――。 多くの日本人が「このままでは貯蓄が足りない」「未来がヤバい」という現実に直面している。 しかし、毎月節約を誓うも三日坊主、気づけば残高ゼロ……そんな悩みは、決して意志の弱さのせいではない。 ハーバード、オックスフォード、スタンフォード、コーネル、シカゴ……世界のトップ大学が証明した【科学的にお金が貯まる習慣】を知れば、誰でも「貯まる体質」になれる。
70万人超の人生を変えた明治大学教授・堀田秀吾氏が、心理学、行動経済学、脳科学の最新知見で、「貯まらない脳」を徹底診断。 インフレ地獄を乗り切り、未来の不安をなくす自動貯蓄術の全貌を説く。 ※本記事は、『ハーバード、オックスフォード、スタンフォードetc.世界の名門大学が導いた 科学的に正しい[お金が貯まる]習慣』(扶桑社刊)より一部抜粋・再構成してお届けします。 ◆貯金は「計画」「スタート」「習慣」の3つの段階で考えよう! お金を貯めることって、始めるのは簡単に思えても、続けるのはなかなか大変ですよね。 実は、貯金には3つの大切な段階があって、それぞれの段階で違った工夫が必要だということが、リンショーピング大学のバラフレムらの研究でわかりました。 1.〈計画の段階〉まずは「何のために貯めるのか」をはっきりさせる。 たとえば、「旅行に行きたい」「急な出費に備えたい」「将来のために家を買いたい」など、目標を決めることです。 目標があると、貯金をする気が出ますし、あとで振り返ったときに「自分はこんなことを目指しているんだ」と実感できます。 2.〈貯金スタートの段階〉目標が決まったら、いよいよ最初のお金を貯金用に入れます。 ここがすごく大事で、思ったときに始めるかどうかで、長い目で見たときの貯金の結果が変わってきます。 研究では、金融の知識がある人はこのスタートに踏み切りやすいことがわかっています。しかし、知識だけではなく「達成できそう」という実感も大事です。 3.〈貯金を続ける習慣の段階〉最初にお金を入れたら、それを習慣化する。 毎月少しずつでも貯める習慣をつけると、お金が自然に貯まっていきます。 ここで重要なのは、「自分をコントロールする力」つまり自制心。誘惑に負けずに計画通りに貯金を続ける力が必要です。 この研究では、自制心スコアが2段階高いほど37.4%多い傾向が見られました。 お金が貯まると、安心できるだけでなく、自分の未来の夢も叶なえやすくなります。 ぜひ、この「計画→スタート→習慣」の3段階、そして、それぞれの段階での工夫を意識して取り組んでくださいね! ひとことアドバイス 「計画→スタート→習慣」の3段階を意識して、無理なく楽しく貯金をしていこう! ◆“叶えたつもり”の魔法――脳は「鮮明なイメージ」と「現実」の区別がつかない 脳は、鮮明なイメージと現実をきっちり区別できません。 たとえば「給料日に自動振替で1万円を積み立てている自分」や「旅行先で安心して豪華な食事を楽しんでいる自分」を想像すると、脳の報酬系が反応して「あたかも達成した気分」を味わえます。 この小さな錯覚が、実際の行動を後押しします。 オハイオ州立大学のリビーらは、米国大統領選の前夜に有権者に「投票に行く自分」を想像してもらいました。 その結果、三人称視点(自分を外から見る形)でイメージした人の90%が実際に投票したのに対し、一人称視点でイメージした人は72%にとどまりました。 ちょっとイメージの仕方を変えただけで、投票率に18ポイントもの差が生まれたのです。
◆漠然とした貯金はNG! 「コンビニコーヒーを戻す自分」を想像して行動を変える さらに、カリフォルニア大学ロサンゼルス校のテイラーらの研究では、試験勉強を「合格した結果」ではなく「勉強する過程」としてイメージさせた学生のほうが、平均して8点も成績が高く、勉強時間も約4時間多かったことがわかりました。 つまり、目標を達成するまでの具体的なプロセスを思い描くことが、実際の行動量や成果に直結するのです。
貯金行動でも同じです。 単に「100万円貯まった自分」を想像するよりも、「コンビニで余計なコーヒーを戻す自分」「毎月5000円を積み立てる自分」をリアルに思い描くほうが行動に結びつきます。 そして楽しいイメージを伴えば、なおさら効果的。 ミシガン大学のフレドリクソンの研究によれば、ポジティブな感情は私たちの思考や行動の選択肢を広げる働きを持っており、「よしやってみよう」という自然なモチベーションを引き出してくれるとのことです。 具体的な場面を思い描くことで、脳はその行動を現実の延長線上にあるものとして捉え、実際の習慣に結びつきやすくなります。 ひとことアドバイス 想像の中の小さな成功体験が、現実の一歩を踏み出す力になります。 ◆貯蓄が続くヒミツは「今まで」と「これから」の見せ方にあり! シカゴ大学のクーらの研究によると、貯蓄のやる気を引き出すためには「これまでどれだけ貯めたか」と「目標まであとどれだけか」という2つの情報の見せ方をうまく使い分けることがポイントだと言います。 クーらは、目標達成に向けた「コミットメント(強い決意)」がどれだけ自分にあるかで、効果的な情報の見せ方が変わることを発見しました。 コミットメントがまだあいまいな人には「ここまで貯まったよ!」と今までの成果(to-date情報)を示すと、「自分はこんなに頑張ってるんだ」と実感し、貯蓄を続けやすくなるそうです。 一方、目標にしっかりコミットしている人には「あとこれだけ足りない!」という残りの距離(to-go情報)を見せることで、「最後まで頑張ろう!」という気持ちが強まるそうです。 たとえば、実際に行われたチャリティ募金の実験では、初めて寄付をする人には「〇〇円集まりました」というメッセージが効果的。 一方、リピーターには「あと〇〇円必要です」と伝えるほうが、より多くの寄付を集めることに成功しました。 また、大学生の調査では、あまり重要視していない授業の勉強意欲は「どれだけ終えたか」を見せることで上がりましたが、重要な授業では「まだこれだけ残っている」と伝えることでやる気が刺激されました。 つまり、自分がどの段階にいるか、どんな気持ちかによって、励まし方を変えるのが大切なのです。 この研究で示されたのは、「進捗の見せ方ひとつで、やる気や行動が変わる」ということ。 ◆貯蓄が続かないのは“見せ方”が間違っていただけ 貯蓄は毎日の小さな積み重ねなので、途中でやめてしまう人も多いもの。 でも、「ここまでできた!」と自分をほめることで一歩を踏み出し、さらに「あと〇〇円!」というゴールの距離を知ることで最後まで頑張れる。 そんな心の仕掛けが役立ちます。 ちなみに、この研究は進捗が約50%のタイミングで行われており、「半分くらい」という節目ではどちらの情報も使えるのですが、個人の気持ちや貯蓄経験に合わせて見せ方を工夫すると、長続きしやすくなるようです。 ひとことアドバイス 情報の見せ方が、あなたの貯蓄の味方になります。 【堀田秀吾 ほった・しゅうご】 明治大学教授。シカゴ大学大学院言語学部博士課程修了、オズグッドホール・ロースクール修士課程修了・博士課程単位取得退学。心理言語学、法言語学、コミュニケーション論を専門とし、学術的な知見を「今日から使える知恵」に翻訳することをライフワークとし、著書は70冊を超える。56万部を突破した『科学的に証明された「すごい習慣」大百科』(SBクリエイティブ)のほか、『科学的に元気になる方法集めました』『最先端研究で導きだされた「考えすぎない」人の考え方』など、科学の力で日常を変えるシリーズは累計137万部を突破。NHKラジオ「ラジオ深夜便」レギュラー・パーソナリティをはじめ、ラジオ・テレビ・新聞・雑誌・WEBなど多彩なメディアで、専門家としての視点を発信中。
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